ロマン主義アニメ研究会

感想、考察、等。ときどき同人誌も作ります。ネタバレ注意。

実は自分はアイドルだったのだ(妄想)ーー『プリパラ公式ファンブック』を読んで

おしゃれ小学生に生まれ変われたい!!

この『プリパラ公式ファンブック』を見ていると、小学生向けのリアル服のブランドが載ってたりして、リアルな「コーデ」の事例が載っていたりもする。

 

なるほど。小学生くらいの女の子が、いろいろ背伸びしてみたい、おしゃれしてみたい、ヒールが少しだけ入ったような靴も履いてみたりなんかしちゃったりしたい、というような気持ちが反映されているのですよね。それを受け止める作品でもあるのですよね。

 

自分の髪の色や髪型を選ぶメイクルームから、このゲームは始まります。アニメでもめが姉ぇに導かれて、女の子は自分にあったメイクとコーデで、いくらでも変われるのよ、と教えてくれる。鏡を見て、「これが…私…」と、鏡の中の素敵な女の子(自分)にうっとりする場面から、始まります(プリパラデビューのシーン)。*1

 

らぁらは、小学生で、通常はちっこくて、この状態でも可愛いですが、プリパラ内では背がすらっと高くなり、体型も幼児体型ではなくなり、髪型も変わり、全体的に少し大人っぽくなります。そしてヒールの入った靴を履く。

みれぃの変化は一目瞭然です。「作り込みがすごい」とドロシーに言われていましたが、実際、プリパラのゲームでは、いくらでも外見を選ぶことができます(現実の自分の容姿に似せる必要は何もない)。

 

『プリパラ』は、素敵になりたい、鏡に映った自分のあまりの可愛さにうっとりしてしまいたい、というような女の子な願望に火をつける。正確には、女の子ではない人の中にも眠る、「女の子な願望」に火をつける。そういう眠っている願望を探りあててくれて、温めて、癒してくれる。プリパラにはそういう心地よさがある。

 

校長先生も、らぁら母も、ライブに出ていましたね。らぁらのリアル年齢と関係なくプリパラ内でアイドルになれるのと同じく、年齢が高くてもプリパラ内ではアイドルになれるというわけです。

 

みんなJS。みんなのなかにねむるJS的なもの、JSアイドル願望を救済してくれるのです。

 

アイドル妄想に浸っていた頃

しかも、アニメのシーズン1でよく描写されていたように、現実世界の容姿との違い、さらに、プリパラでアイドルをやっていることを隠している、というようなシーン。自分でもおかしいとは思うんですけど、これ、よぅうく、わかるんですよ。

 

・・・私だけなのかなあ、時々、小さい頃(小学生高学年〜中学生の初めの頃)ですけど、自分は、実は、周りの友達に隠しているけど、アイドルなのだ、というような「妄想」に、学校の帰りの地下鉄のホームなんかで、友達と別れた後、浸りながら歩いていた、そういう記憶がある*2

(もっと前だったら、こういう妄想に浸っていたこと自体が恥ずかしい過去、思い出すのも恥ずかしい!ていう感じなんだろうけど、もう昔過ぎるせいか、全然恥ずかしさを感じない。その分強くなったとも言えるけど、乙女な恥じらいの感情もなくなってきているのかと思うと、少し寂しいですね。)

 

アイドルとかキラキラした女の子に憧れすぎると、しょぼい毎日を送って、ダサい制服(学ラン──大嫌いでした)を着て、ヨレた手提げ鞄みたいなものを持ちながらとぼとぼ下校しているこの自分とのあまりのギャップに、なんだかいたたまれなくなり、こういう姿は世をしのぶ仮のもので、学校が終われば実はパーッと着替えてアイドルやってるんです、お友達にはまだ秘密だけど・・・、だから、ごめん、今日予定あるから先に帰ってて、なんて言っちゃったりするんです、ーーというのだったら、どれだけいいことだろうなあ(反実仮想)、というような妄想が自然と浮かんでくるのです。

 

私だけですかね。同じような妄想に少し浸っていたという人は、結構いるんじゃないかなあ? いないかな?

 

それで、プリパラは、こういうどうにもならない妄想を、少しだけでも癒してくれる、救済してくれる作品なんじゃないかな、と思いました。

 

だから、いまじゃなくて、まさにその当時にプリパラに出会っていたら、もっと激しくのめり込んでいたかもしれませんね。危険なくらい。

 

*1:あの「筐体」は、「鏡台」(dresser)ですよね。マイキャラが、画面の向こうから、鏡にむかって屈み込むように覗き込みますが、それは鏡に映った私である。──コンパクト(鏡)というのが変身アイテムとして昔からありますけど、そういうことですよね。

*2:女の子のアイドルね。私は一応男の子のはずなんだけれども、どういうわけかこの頃はこういう妄想がスムーズに出てきてましたね。あれはなんだったんだろう。

・・・と言いつつ、やっぱりいまだにこういう妄想をどこかで捨てきれないでいる。もし自分が着るんなら〜、このコーデがいいかな〜、とか考えながら、プリパラをやったり、『ファンブック』を読んでいる。