ロマン主義アニメ研究会

感想、考察、等。ときどき同人誌も作ります。ネタバレ注意。

【C93】新刊『ごちうさ論:「Sister」の「魔法」〜「Dear My Sister」から読み解く「ごちうさ」』他お知らせ【2日目・東E02a】

 皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

 いよいよコミケが近づいてまいりましたので(またようやくそんな余裕も出てきましたので)、改めてお知らせします。こんどの冬コミ(C93)で、当サークルは次のような新刊本を頒布します。

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<新作のしあわせはこちら!(新刊)>

【新刊】 ごちうさ論:「Sister」の「魔法」〜アニメ『Dear My Sister』から読み解く『ごちうさ』B5, 約100p, 500

 【おまけ的新刊】chimame-tai ni nari-tai !!』コスプレ写真集 400

<オリジナルメニュー(既刊)> 

ごちうさ論 その1 <基礎編>』 300

 今回の新刊は、劇場公開スペシャルエピソード『ご注文はうさぎですか?? Dear My Sister』の〝謎〟を、「Sister」&「魔法」という二つの観点から追いかけ、それを手掛かりにして、これまで・これからの『ごちうさ』の全体(原作、キャラソン含む)を読み解いていこうとする、盛りだくさんな内容になりました。どうぞよろしくお願いします。 

 お気軽にお立ち寄りいただければ、と思います。多分ずっといます。(──それにしても、今回はごちうさのところからけっこう離れてしまいました。7?ですかね。私はそちらにはあんまり行けないかもしれませんけど、お越しの皆様は、お帰りの際にでも、私の方にもちょっと(思い出して)立ち寄っていただけたら・・・と思います。東1の、入り口から割と近いところだったかと思ので) 

 頒布物は、アニメ『ご注文はうさぎですか?』シリーズ(原作、関連作品含む)に関する、考察・評論、というより随想のようなジャンルの本です。文字によるものです。

 前回の本(既刊本)もあります。『ごちうさ論 その1<基礎編>』です(新刊はタイトルから“その2”がどこかに行ってしまっていて、アンバランスなんですが)。──ここで改めて、前回(夏コミC92)本を手に取っていただいた皆様、ありがとうございました。

 お待ちしております!

 

 

新刊ご紹介

 もう少し、今回の新刊の内容についてご紹介しますね。 

<あ!今気づきましたけど、11/11〜劇場公開されたOVAご注文はうさぎですか?? Dear My Sister』をまだご覧でない方は、以下の告知の中で思わぬ形でネタバレ的なものが含まれているかもしれません、ご注意ください。──地域によっては、これから公開が始まる映画館もあるみたいです。逆に、近所の映画館ではもう終わっちゃったよ、っていう人も、ちょっと電車に乗ればまだ見れますね。> 

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目次はこう。 

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どんな本なのか、本の冒頭部分から、抜粋しておきます。 

■(本書の内容)『Dear My Sister』読解──そして『ごちうさ』未来パズル

○この本

 この本では、「Sister」と「魔法」という概念に着目しながら、ごちうさOVA『Dear My Sister』を、その原作、関連する主題歌・キャラクターソング等も併せて、読み解いていきたいと思います。またさらにそれを踏まえつつ、これまでの『ごちうさ』の原作およびアニメ、そして、〝これからの『ごちうさ』〟が向かう方向についても、考えてみたいと思います。

 

○「Sister」と「魔法」──読み解く鍵

  『Dear My Sister』を理解するにあたって〝鍵〟となるのは、「Sister」と「魔法」という、この二つの概念だと思います(そういえば、「鍵」が発売されましたね)。

 特に、『Dear My Sister』を理解するにあたってもっとも重要なのは、作品タイトルにある「Sister」でしょう。ですからまずは、「Sister」という言葉に込められた様々な豊かな意味を、一つ一つ読み解いていきたいと思います。

 しかしながら、『Dear My Sister』が、これまでの、そしてこれからの『ごちうさ』という広い文脈の中の一部であるということを踏まえるならば、やはり「魔法」という概念は欠かせません。『Dear My Sister』には「魔法使い」が出てきましたが、そもそも『ごちうさ』では、これまでもずっと「魔法」がかけられてきていたのであり、さらにこれからそれは「マジック(手品)」になろうとしている、というのが、この『ごちうさ』の広い文脈にあると私は考えるからです(詳細は、本文で説明します)。

 

○アニメと原作との違い(夢&チノのお誘い)に着目して

  ところで、今回のアニメ『Dear My Sister』は、原作5-3, 5-4, 5-5が、主にベースになっていると思われます(囲み記事参照)。この部分の原作と読み比べたとき、特に目立つのは、次のような違いではないでしょうか。

 ・ココアの「夢」の部分。(原作になし)

・チノが、花火に誘う、という部分。(原作5-5では、ココアが誘っている。)

  原作と見比べたとき、アニメにおける特に大きな変更だと感じられるのはこのあたりです。今回の本では、この原作から加えられたアニメでの変更部分に特に着目して、『Dear My Sister』の全体を読み解いていこうと思います。

 順番としては、まず「夢」の方を端緒にしてお話をしていきます。「夢」の方には、気になるところや謎が多く、これを読み解いていく作業を先にしたほうがいいと思うからです。またそうする中で、「チノがみんなを誘う」という要素の意味も見えてくるのではないかと見立てています。

 

ごちうさ未来パズル

  そして、こうして(「夢」と「チノのお誘い」を手掛かりに)得られるであろう『Dear My Sister』の解釈(「Sister」と「魔法」の意味)を基にして、さらにこれまでの『ごちうさ』と、今後の『ごちうさ』の傾向も、読み解けるのではないかと思っています。この本では、かなり多くの部分で、これまでの『ごちうさ』のお話に言及し、解釈しています。『Dear My Sister』解釈と言いながら、結局は『Dear My Sister』をきっかけにした『ごちうさ』全体の解釈になってしまっているわけですが、それはそもそも『Dear My Sister』にはある意味で『ごちうさ』の全体が凝縮されているからだろうと思います。これから『ごちうさ』がどうなっていくのか、という未来のことについても、『Dear My Sister』から少しずつ見えてくるのです。

 そんな、深読みのしすぎ! も、含めて、こうも言えるかもしれない、ああも言える、という一種のパズル(チノちゃんの趣味でもありますよね)のようなものだと思って、お楽しみください。──未来の『ごちうさ』を予想する「未来パズル」ですね。(だとしたら…そうか、毎日こつこつパズルを組み立てるのが楽しみなのに〜というチノちゃんみたいな人にとっては、この本は、無神経なココアさんのようなことをするヤツ!と思われるかもしれませんね。でも、巨大なピースのパズルはみんなでやったほうが捗るし、楽しいんですよ。ココアたちがそうしていたように(原作1-13, アニメ1-7)。──というわけで、皆さんも〝ごちうさ未来パズル〟、ご一緒にいかがでしょう?)

 

Dear My Sister 主題歌・キャラソン解釈〜 囲み記事 について

  『Dear My Sister』関連でCDがいくつか発売されましたが(主題歌、キャラクターソング)、これらも本当に良いですし、作品と一緒に噛みしめて味わうとまたいろいろわかってきますよね。

 『ごちうさ』の場合、キャラソンといえども本編から独立したものという感じがいたしません。「話作りやイラストでも、キャラソン等からインスピレーションをいただくことはとても多いです」(Koi先生、『ガイド2期』 p. 112.)とお話しされているように。そこで今回は『Dear My Sister』という作品を広く深く理解するためにも、キャラソン・主題歌は不可欠と考え(何より大好きですし)、キャラソン・主題歌についても、本編と関連付けつつ、別枠を設けてお話ししています。

 また、過去のキャラソンの解釈も、本編の解釈と連動して記しています。(過去のキャラソン解釈もまとめて「付録」にしようかとも思いましたが、本文の中に埋め込んだ方が伝わりやすいと思いましたので、そういたしました。)

 私が心から愛するごちうさ音楽たち。

 

まえがき(一部)

  […略…]『Dear My Sister』には、『ごちうさ』の全体が凝縮されているし、そもそも『ごちうさ』というものが、そうなっている気がします。『ごちうさ』のある「部分」について考えることは、「全体」について考えることでもあり、そんな有機的な仕掛けが、『ごちうさ』にはいつも隠れている。──それがおそらく「何か仕掛けたい!という気持ち」(『劇場パンフ』, p.11)と言われているものなのではないかと思います。

 […略…]それから今回は、この本の大部分において、『Dear My Sister』を見て、素直に素直に、解釈したことを記してみました。極力うがった見方、飛び業的な解釈はしていないつもりです。ですので、逆に言えば、当たり前のこと、「そりゃそうだ、観りゃわかる」、というような程度のものになっているかもしれません。まあ、そうですねぇ、「ね、そういうことだよね、あの場面は。ね?」と、映画を観終わった後、気楽に喫茶店でお話をしているような感じで、めくってもらえればと思います。──映画が「すごく良かったのにみなさんと語り合えない」(原作2-11, アニメ1-8B, チノ)のはつらいですよね。(関係ないけど、映画観終わった後って、どういうわけか甘いもの、パフェとかクリームソーダとかが食べたくなって、それで人と話したりしたくなりませんか。──シャロちゃんはホットドッグ食べてましたけど。)

  とはいえ、ある部分では、ちょっと私なりの、少し変わっているかもしれない見解、だけれどもそれなりに根拠はあると思っている見解を提示しています。主に最近の『ごちうさ』の〝作風〟の変化について触れた部分です。そこに「魔法」が絡んでいる、と私は考えているからです。「魔法」は、今回の『Dear My Sister』のテーマ(の一つ)でもありますよね。『Dear My Sister』は、そういう意味で最先端の『ごちうさ』の傾向を反映していて、さらに未来の『ごちうさ』を映し出すもの(=未来パズル)でもあるのではないか、と考えております。

 それは一言でいえば、『ごちうさ』の〝優しい世界〟を成立させている仕組みが、「ズレの構造」から、「魔法」/「手品」へと、明確化されつつある、ということです。──これは、ガラリと変化したとか、そういうことではありません。潜在的だったものが顕在化してきた、あるいはもっと控えめに、名前がなかったものに名前が付けられた、というようなことです。 

 さて、このように、私たちはこの本を通じて、『Dear My Sister』を手がかりにしながら、これまでの『ごちうさ』、そしてこれからの『ごちうさ』を、読み解いていきたいと思います。

 […略…]

  また、皆様のなかにも、心の中にはこんな本や「探偵ノート」がすでに一冊(あるいはそれ以上)出来上がっている、というような方も多くいらっしゃるのではないかと思います。そっと教えていただければとても嬉しいです。

 

本を作りながら、やっぱりこの作品を愛しているのだなあ、と思いましたし、一層深く愛せました。やっぱり本のことばかり考えていると、夢にも出てくるんですよ。夢にごちうさのことが! なんとも素晴らしい体験でした。

 

(おまけ)裏表紙

(いま、裏病詩、って変換が出ましたよ…ことえりが病んでる。)

 

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どこの何の引用か、あててみよう!(本の中で引用している言葉です。──キャラのセリフだけとは限りません。たぶん、1つ異常に難しいのがあると思います…)