ロマン主義アニメ研究会

アニメに関する考察・・・というより、アニメ等を契機に私が思考した事柄、随想的なものを載せています。またここは評論・随想サークル「ロマン主義アニメ研究会」のHPでもあり、たまに告知等も載せます。

私をまっとうな道に連れ戻してくれるかもしれない爽やかさ:『NEW GAME!!』(2期)感想

 

◆爽やかさ

 

 大変よかった。とても前向きで爽やかな作品。──「さわやか」という表現が、本当にぴったり。

 

 確かに「萌え4コマ」原作ですから、フェチ的欲求を所々で満たしてくれるようにはもちろん作られているけれども(第1話の会社で起き抜けの八神さんのシーンは、しつこく股間アニメだった)、しかしきちんと見ていくうちに、そういう脂ぎったネチネチしたいやらしい目線や欲求などが、(しゃぶしゃぶのように)さっぱりと落ちていって、いつの間にやら、とても清々しい、爽やかな、非常に前向きな気持ちになっている。

 

 「涼風青葉」という名前そのもの。

 

 なんか、うまく誘導されたな、まっとうな道に連れ戻してもらったな、というように感じて、そのことについてこの作品に感謝すらしたくなる。 

 

 これは、本当に素晴らしい作品なのではなかろうか。この爽やかさ、前向きさ加減においては傑作と言えるのでは。それも全く押し付けがましくない、教訓くさくない、こんなにもナチュラルなやり方で、これほど前向きな気持ちにさせてくれる作品は滅多にない。

 

 全体を通じてとても軽やか、爽やかで、おしゃれに作られている。(エンディングも爽やかでとてもおしゃれ。2パターンありましたが、2つ目が特におしゃれ感あり。そういえば、劇伴音楽もさりげなくおしゃれ、と思っていたら、『けいおん!』の人だったんですね。サントラを聴いてみたいです。)

 

 

◆真剣さ、ある種の職業倫理

 

 「お別れ」が描かれているのだけれども、JKもののそれとは違う良さがあった。

 

 卒業したら・・・という感動要素は、『けいおん!』などがすぐに思い浮かぶように時々取り入れられるけれども、本作品のような「別れ」というのは、そういうのとも違って、さわやか。

 

 なんというか、「卒業」というものの哀しさというのは、実は、ある意味で、ちょっと誇大妄想というか、後から振り返ってよく考えてみればそんなに悲しむことでもなかったのではないかというような、そういうところがある。子供の楽園、子供としての最後の時間が終わってしまう、というようなことを、いまだ子どものままの状態で想像して、感傷に浸る、という側面がある。

 

 そして、JKものの日常系作品は、一方で、そういう失われた子供の時の感受性を思い出させてくれて、「そうそう、これくらいの年齢の時は、それが大変なことに思えるのだよね」というように、懐かしみつつ、可愛がりつつ、味わう、というようなスタイルになりがちで、それはそれで、とても良いものだ。もう大人になってしまった自分が巻き込まれている、この現実の諸々の面倒臭い事どもからほんのひととき離れ、そういうファンタジーに浸るというのは心地よく、必要なのことだろうと思う。

 

 しかしながら『NEW GAME!!』は、ちょっと違う。そういう子どもらしい過剰な感受性による、ぐーっと胸が苦しくなるような、青臭い別れの悲しみの表現はない。独立した立派な大人どうしの関係であって、プロの職業人どうしの関係という感じがする。

 

 八神さん・りんさんの関係、しばしのお別れに関するエピソードも、もちろん感動的で、ある程度の落ち着いた大人どうしのこういう百合関係というのもとてもいいものだなあ、と、心動かされるものがあったけれども、

やはりとりわけ重要なのは、青葉・八神の関係であろう。1期でも、特に最終話はこのような二人の関係が見られて大変良かったが、今回もまた最終回でのこの二人の関係がとても良かった。

 

──なんというか、浮ついた「関係」に関する、ちょっと脂ぎったような妄想が静かになって、もっと真剣な、ある種の職業倫理に基づく人間関係とでも言うべきものが、この作品の基礎にあると感じさせられた。・・・そういう真剣さが、中盤、ちょっと面倒だと感じることもなくにはなかったのだけれども、最後まで見ていて、こういうのはやっぱりいいものだと思わざるをえなかった。

 

 

◆うまいこと導かれたなあ

 

 ああ、私はこういう立派でまともな人たち、前向きな職業人の世界、切磋琢磨しあう独立した人間たちの爽やかな関係といったようなものが、嫌いだ嫌いだ、といつも口先では言っていながら、一方で、この作品のように、こういうものをストレートに、爽やかに、押し付けがましくなく、ステキに見せつけられると、あきれるほど素直に、どうしようもなく感動してしまう。

 

 本当に私という人間は、一方ではいつもアウトローなへそ曲がりを気取っていながら、他方では完全にとてつもなくチョロいところがあって、こんな最終回を見せつけられたら、「プロとして前向きに仕事に打ち込むっていいなあ、素敵だなあ」、などとすぐ思ってしまう。

 

 そんなわけだから、今日はちょっと早めに寝て、本来やりたかったはずの今の自分の仕事に、明日はもう少し改めて真面目に取り組んでみよう、というような気になる。──う〜ん、本来こういう感想を言う人のことが苦手なはずなのに、どういうわけか自分自身がこんな事を素直に思ってしまっている。自分でも気持ちが悪いが、そうなってしまった。

 

 本当に、この作品にはうまいこと導かれてしまったなあ、という気がする。

イヤダイヤダ、まだまだ連れ戻されたくないよ〜、ふわふわしてたいよ〜、って人は、だから注意して観たほうがいいかもしれませんね。チョロさに自信アリの人は、あっという間に導かれてしまうだろう。)