ロマン主義アニメ研究会

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二重のきらら結界:『こみっくがーるず』かおす先生考

 『こみっくがーるず』の主人公かおす先生について。

単行本3巻pp.111〜(『MAX』2017年3月号掲載)のエピソードがとても素晴らしいので、これを手掛かりに、ちょっとあれこれ考えみようと思います。

 

◆かおす先生に励ましのお便りを 

とにかく「かおす先生」は、かわいいというか、応援したくなるというか、文字どおり「励まし」を送りたくなるキャラであります。

 

特に興味深いのは、次のようなところ。

 「女のコらしい部屋で…

お菓子食べたり おしゃべりしたり…

まるで4コマの世界…!」

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(第1巻p. 20)

  あるいは、

「新しい学校の制服かわいい…!!

なんか私4コマの主人公っぽい…!?」

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(第1巻p. 36)

 と、4コマ漫画家かつ現役女子高生でありながら、「女子高生が出てくるような4コマ漫画」(=きらら漫画)の世界に憧れている・・・というか、「憧れの対象」になってしまっているのです(だから、読者アンケートで、女子高生の描写に「リアリティがない」などと書かれてしまう)。

 

このように、かわいいし、興味深いキャラなのです。

(というわけで、これから「興味深い」点についてごちゃごちゃ書き記そうと思いますが、以下の話は、全くこの作品を楽しむにあたって不要なことで、かおす先生は「かわいい」し、「がんばってほしい」というだけで、いいと思います。)

 

◆かおす先生というキャラの興味深さ

「自分が4コマのヒロインであることに自信が持てない(疑いを持っている)、4コマのヒロイン、しかも4コマ漫画家」。

 

この時点で、かなり興味深い設定です。

 

(3巻あとがきで、ボツネームばかりだったころに、そういう自分からひょっこり出てきたキャラ、と作者の方は書かれてましたが、作者の方が、萌え4コマの世界とは何だろう、どうやったらそれらしく描けるだろう、と考えていたことが、そのままキャラとして反映されているような気がします。勝手な推測ですが。)

 

かおす先生は、萌え4コマ漫画(以下、単に「4コマ」と表記)[的なもの]を愛好し、かつ4コマ漫画家なので、4コマ漫画の世界がどういうものなのかということを、知識としては知っている。

そして、その知識として、頭の中にある4コマ漫画の世界と、目の前の自分の現実の世界とが、簡単には一致しないことも知っている。

 

ここまでは、現実の我々と同じ。

 

しかし、かおす先生は、やっぱり4コマの主人公なので(本人がそのことに自信を持てず、また本人が聞いたら驚くであろうけれども──例えば、彼女は自分のことを「変なモブ」と称したりしている)、彼女の頭の中にある、知識としての、二次元情報としての「憧れの4コマの世界」と、彼女の目の前の「現実」の世界とが、次第に一致していくことになる。小夢が「現実だよかおすちゃん」と言ってくれているように。

 

そして、かおす先生は、この「一致」にうろたえる。「まるで4コマの中にいるみたい」と、ぼんやりとする。

 

作品内で、登場人物の頭の中にしかないはずの4コマの世界というものを登場させ、それが、作品内の出来事と合致していくというプロセスは、読んでいる人をより深くファンタジーの世界に連れて行ってくれます。

 

◆4コマの世界を描いた4コマに元気付けられる4コマ

このことがとてもわかりやすく、ちょっと感動的に描かれている箇所として、例えば、単行本3巻pp.111〜(『MAX』2017年3月号掲載)のエピソードが挙げられると思います。

 

今回、かおす先生は、仲間がみんな帰省してしまい、一人ぼっちになって急に寂しくなったり自信を失ってしまって「しょんぼり」なところから、自分の趣味、そして自分の描いた4コマ漫画に元気付けられ、さらにそこから仲間たちとの楽しい日々を思い出して、立ち直る、というようなお話でした。(寮母さん、猫のにゃおす先生も、元気付けてくれます。)

 

自分が描いた「4コマの世界」をきっかけに、自分は今、まさに「4コマの世界」(のような)日常にいるのだ(=寮での楽しい暮らし)ということを思い出すという(そしてこのプロセス自体が「4コマ」として描かれているという)、大変興味深いお話でありました。

 

この回は、笑ったり、感動したりできる、とても素晴らしいエピソードです。ぜひご一読されることを皆さまにオススメいたします。(かおす先生の漫画家としての活躍が、この辺りから、少しずつですがその兆しを見せ始めてきていますし、後輩にあたる子もこのあと登場しますし、この回は、全体を通じて一つの転機になっている回ではないかと思います。